筑波山の水脈を守る会

本会は、筑波山の水脈を保全する活動を行っています

台風一過後の宮山と11月のWS(「山のスクール」/講師:今西友起さん)のお誘い

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11月17日(日)のWSでお世話になる茅葺屋根の家。はては東京より遠いところからいらっしゃることもある外部の方におかれましては、ここでほっこりしていただきたいなと思っています。今回のWSは、ご多忙を極められる高田さんから、三重の今西さんへバトンタッチとなりました。9月の今西さんの山のスクールは、皆さんからたいへんご好評いただき、引き続きじっくりと技術を教えていただければと思っています。今西さん、どうぞよろしくお願いいたします。(ブログ最後に詳細をお伝えします)

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台風19号一過後の筑波山南麓。冴えわたる青空。関東平野をぐるりと囲む数々の名山(那須連山、日光、富士山、榛名山浅間山秩父連山などなど)の姿は、さながらアーサー王の円卓の騎士たち。富士山がアーサー王とすれば、筑波山ランスロット卿というところでしょうか(やっぱり筑波山びいきの私です)。特別警報が出た南麓でしたが、大きな被害は出ませんでした。改めて感じたのは、南麓の雨の少なさ。早々と特別警報が出た東麓の石岡市、西麓の桜川市に比べ、南麓は数時間遅れての特別警報でした。ただ、一部浸水してしまったおうちもあり、山麓には疲れの色が見えました。水路に面する我が家の敷地も水浸しになり、ソーラーバッテリーが浸水しないよう、嵐の中必死で水道を作りました。これからは関東を直撃する台風が増えるでしょうから、何も知らない私も、台風に対する経験値をあげていかなくてはいけません。

(10月14日追記:日を追って、茨城県を含めた各地の甚大な被害が明らかになってまいりました。被災者の皆様におかれましては、心よりお見舞い申し上げます。)

 

一夜明けて、さっそく宮山西の谷筋へ向かいました。

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台風一過後の山。。。ばさばさと落ちた枝葉を片付けながら歩を進めて行く。沢は、沢は、どうなっているんだろうか。。。…なんと!!普段の西の谷をご存知の方には、驚くような光景だと思います。水量が増えて見違えるように生き生きとした沢。谷は、水音のこだまに満たされていました。水が動けば気も動き、森に息吹が吹きこまれ、葉がちらちらと揺れる。明るい日の光が谷に差し込み、恐ろしかった一夜が嘘のように感じられました。

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ここは、311の斜面崩壊で埋まってしまった沢筋で、普段は全く水が流れていないところです。が、流れが復活。本来の沢の姿、水位のイメージがやっと湧きました。9月の山のスクールで、今西さんが「本来の川の水位」とおっしゃっていたことの意味が、体感をもって理解できました。

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あの、申し訳程度の水しか流れていなかった皆で作った水道に、なみなみとした水量の流れが!!西の谷筋の森に、細く勢いの良い流れが幾重にも織り重なっている様子、、、今は濁ったこの水が澄み切って、流れをはさむようにシダが生い茂り、間伐が施された太い杉檜のはざまに複層林が形成されたなら、、、私たちの地道な活動が長く続いていけば、この森はとんでもなく美しい場所になる。山は存分に水を吐き出し、呼吸することが出来るだろう。そんなイメージがふと脳裏に浮かび、私を捉えて離さないのです。リリーの泉周辺はどうなっているだろうか。

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泉上部の岩の際、今西さんが指で横穴を空けてくださったところですが、水の濁りが消えて、停滞水が無くなっている!!!

実は、9月の山のスクール後、毎日のように西の谷に入っていた私ですが、せっかく皆さんが作ってくださった水道、濁らせるわけにはいかないと、停滞した水を流すのに四苦八苦でした。グライ層を素手で触っていたために、肌が汚くなったのはここだけの話です…(グライ層を素手で触るのはお勧めできません)この場所はなかなか水が澄まなかったのですが、台風の力はすごい…色々な詰まりを一気に押し流してしまったようです。

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この場所も、勾配をつけるのたいへんでしたね。なんとかみんなで水を流しましたが、結局その後も泥詰まりがひどく、何度も何度もメンテナンスをしていました。それでも水が澄まず、停滞水がひどかったのですが、停滞はほとんど解消され、水も澄んでいる!すごいすごい。

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ここは大きな岩盤がむき出しになっているところで、おそらくこの谷の水源地となっている特別な場所です。今西さんがバールで4、5か所から水を出してくださったところです。せっかく出していただいたところなので、毎日のように落ち葉や泥を掻き出して湧き出しを守っていたのですが、なかなか濁りが取れませんでした。それが、なみなみとした澄んだ水が岩を洗っているではありませんか。。

高田さんや今西さんから山のお話を伺うようになって、猪やモグラといった生き物が水脈を守ってくれていることを学び、人間である私もその一助を担いたいと思ってきましたが、一番の主人公は水そのものだった。生き物が必死に水を守ろうとする一方で、水―台風―の偉大な力は一瞬にして水道を通し、澄ませてしまう。台風は恐ろしい。人の命すら奪ってしまう。でも、台風はなんと偉大なのだろう。既に頭で理解していたことが、台風一過後の宮山の西の谷を舞台として、実感を持って私の中に初めて受肉したように思いました。その後、白滝神社へ森の王様アカガシのドングリを拾いに行った私と娘ですが、本当に「白滝」であったことに感動しました。本来の水位。本来の沢の姿。既に失われてしまったものをイメージとして描き、手を伸ばしていきたい。

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11月のWSのお知らせです。

筑波山の水脈を守る会主催 
「山のスクール」(講師:今西友起さん)
2019年11月17日(日)9時~16時@六所宮山

関東平野の命の源、筑波山を守ろう」

いにしえより御神体として崇められ、現代に至るまで人々に深く愛される筑波山。900メートルに満たないこの山に、関東平野を広く潤す力があること、ご存知でしょうか。まさに、山全体がパワースポット!そんな筑波山が今、危機に瀕しています。動脈硬化のように水脈の詰まりがたくさんできているのです。山は呼吸ができず、藪に覆われ、貴重なブナ林をはじめとした大木が衰弱し、土壌も硬化。このままでは、関東平野の命の源である筑波山の力が失われてしまう…。

しかし心配ご無用!水脈の詰まりは、人の力でも、スコップ一つから解消していくことが出来るんです。そのやり方を教えてくださるのは、各地の環境再生に実績のある、今西友起さん。今西さんと一緒に、老いも若きも皆で楽しく、筑波山水脈の要、宮山の水脈整備で一汗かきませんか。

・参加費(簡単なランチ付):3000円/高校生以下500円
・8時半、受付開始。9時、作業開始。16時頃、作業終了後、お茶をしながら随時解散。
・お申し込みの上ご参加ください(tsukubanomizu@gmail.com)。詳細をお伝えします。お食事の準備の都合上、開催二日前(11月15日(金))までにお願いいたします。恐れ入りますが、携帯電話番号(中止の際の連絡先)もお知らせください。

西友起さん プロフィール

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1981年生まれ。三重県阿山郡阿山町(現伊賀市)出身。三重県立上野工業高等学校電子機械科卒業後、土木建設業に従事。2017年に独立。山林や庭の環境改善、石場建て構法の施工を専門とし、土中環境を重視した土木を実践している。

筑波山の水脈を守る会
関東平野にそびえる見目麗しい筑波山は、古来より御神体として崇められ、現代に至るまで人々に深く愛されています。日本列島は大きな気候変動の時を迎え、各地で山の崩壊が起きています。土砂災害警戒区域に指定される筑波山南麓ですが、かつての山麓の人々は信仰篤く、水脈の要を神々の宿る場とし、結の作業で守ることによって、命を繋いできました。しかし現代では、森が荒れ、猪もあらぶり、災害の危険が高まっています。筑波山の水脈を守る会は、山麓の暮らしの無事を願い、山麓の人々、街の人々と結び合いながら筑波山の水脈を保全することで、命の源である山を敬い、人と人、人と自然とのつながりを取り戻すことを目的とし、山麓住民によって結成されました。

お問い合わせ先 事務局 茅根(ちのね) tsukubanomizu@gmail.com

 

 

 

 

9月の活動(「山のスクール」/講師:今西友起さん)のご報告と10月の活動のお誘い

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10月の活動のお誘いです。

作業内容は、竹炭焼き+階段作りになります。雨天の場合は、山へ入ってメンテナンスになります。(雨の日は雨の日で、水の流れが見えるので水脈整備に適しています)

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日時:10月19日(土)

集合場所:立野集落(六所の隣です)

駐車場:六所皇大神宮第二駐車場(自転車の方は直接集合場所で結構です)

時間:9時集合~お昼ご飯後、随時解散(午後は有志で作業を行います)

*疲れすぎない程度に体を動かしましょう。水分はきちんと取りましょう。

*お昼ご飯を食べる方は、おひとり300円(未就学児100円)カンパをお願いします。お昼ご飯は、おにぎりと鶏汁です。

*野良仕事の服装でいらしてください。帽子・長袖・長ズボン・タオル・軍手・長靴・リュックか腰袋・着替え・虫よけスプレー・虫刺されの薬 等 黒い服装はお控えください。

・持ち物:飲み物入りの水筒・ノコ鎌・移植ゴテ
(昼食を一緒に召し上がる場合)お皿・お椀・お箸・コップなど

*参加ご希望の方は、tsukubanomizu@gmail.comに、ご昼食の有・無もお伝えください。

 

《初めて参加される方へお伝えしたいこと》
私たちの活動は、自然保護を第一の目的としたものではなく、山を真ん中とした、人と人、里と街とのつながりを再生することを一番大切にしています。山仕事には危険がつきものですが、ボランティア保険はかけず、「自己責任」という言葉も使わず、お互いを思いやりあって活動をしていきたいと思います。小さなお子さんやご老人も参加されますが、誰も怪我をすることなく、無事に家に帰ることが出来るよう、優しい気持ちで祈りながら、同じ時間を過ごしていければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

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9月の守る会の活動は、様々な意味で、大きな飛躍の回となりました。

常陽リビングさん、NEWSつくばさんの報道を受けて、守る会の情報が、活動開始から9カ月目にして、ようやくこの山を愛してやまない不特定の層に届き始めたのです。これは感動的なことです。筑波山は小さな山です。姿かたち、眺望は無二ですが、山は荒れ果て、深山の景も無く、ヒールでも登山できてしまうようなお手軽な山です。しかしその歴史の古さと、人々からの崇敬の篤さゆえに、日本百名山に加えられました。参加者は、私達コアメンバーを含めて20名近く。イベント(急遽山のスクールというイベントの開催となりましたが)でもない、通常の活動にこれだけの参加者が来てくださるという事、信じられません。筑波山の見えるところで人生を過ごしてこられた皆さん、言葉に表せぬ筑波山への愛をそれぞれにお持ちでした。私などより、その愛は深い。と感じました。

私のしていることは、ただのきっかけづくり。この小さな山が一身に受けるとてつもない愛の総量、想像することもできません。これがひとたび一つの方向へと放射され始めたとしたら、アマチュアである私の役割はもう終わるのかもしれません。様子見の方もいらっしゃるでしょうし、毎回来ていただけるわけではないにせよ、今後も来てくださる一人一人の方を大切にして、共に活動を続けていただければと思っています。皆さまには重ねて御礼申し上げます。辛いこともありますが、大きな励ましとなりました。事務局としてはまだまだ未熟な私、どうぞ色々とご教示くださいね。

そんな嬉しい出来事に加えて、今回はなんと急遽、環境改善のプロフェッショナル、今西友起さんを三重から招聘し、山のスクールを開催することが出来ました!今西さんは、山の環境改善に関しては日本で三本の指に入る方で、高田宏臣さんも全面的な信頼を寄せていらっしゃり、一緒にお仕事をされています。今西さんは、三重にお住まいにもかかわらず、1月の高田さんの講演にいらっしゃっていた(高田さんの名声はすごい!)そうで、その後も私のブログを読み、ひそかに山麓の弱小な活動を応援してくださっていたのです(ありがとうございます…)。ただ、技術の無い私が間違ったことを仕出かしているのを心配し、7月のダーチャで、思想に裏打ちされた技術を持つことの大切さを一所懸命教えてくださったのでした。そのご縁で、8月に新潟で集中講座を受け、これは守る会のメンバーにも伝えなくてはいけない!ということで、無理を言って「山のスクール」を開催していただいたのです。

今西さんはもともと土建会社にお勤めだった方で、土木の豊かな経験をお持ちです。砂防ダムを始め、多くのコンクリート構造物を建造されてきました。しかし、ふと書店で手に取った雑誌に掲載されていた高田さんの記事を読まれて、誇りをもってたずさわってきたご自身のお仕事が、環境に致命的なダメージを与えていることに気が付き、このままではお子さんに顔向けできないと、悩んだ末に会社をやめられました。現在は独立され、フリーランスとして庭や山の環境改善、石場立ての施工などを請け負い、自然と調和した土木の在り方を追求されています。その追随を許さぬ技術と思想については、私が言葉にするよりも、ビデオを直接ご覧になっていただくのが一番かと存じます。Youtubeにアップしておきましたので、お時間があれば、ぜひ。

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それにしても、宮山の東の沢で、あ!と息つく暇もない瞬間的な技で水を通してしまうわ、西の谷筋では、10分くらいバールでつつきまわしただけで、4、5か所から水を沸かせてしまうわ、とんでも無い方だと思いました。スコップの使い方ひとつ、草の刈り方ひとつにも、大切な要素がたくさんあるわけで、とても一つ一つの技術をものにするところまでは行きませんでしたが、今西さんという存在は皆の胸に焼き付いたはずで、その思想は胸の奥深いところまで届いたのではないかと思います。

実は今回、ショックなことがありました。ブログで書いていいのか、どうか、悩みました。利己的ではありますが、この土地に住む私、という立場からのことです。でも、書かなくてはなりません。今西さんと二人で、現場の下見のために、宮山の西の谷筋から、やや深い谷間にそって磐座まで登ったのですが、宮山の西の尾根付近に、茨が生えていたのです…。今西さんによれば、山が緊急事態にある時、茨が生えるのだそうです。何人たりとも、獣すら足を踏み入れてはならない時に。(山の土壌とは、一つの生命体です)東の谷筋には砂防ダムがあるので一見こちらの方が荒れて見えますが、実際は、西の谷筋のメンテナンスの方が急がれるのです。今西さんは、ここ(西の尾根筋)はWS形式でやってはいけない。プロが慎重に、それこそ仕事としてではなく、ボランティアとして、時間を度外視してやっていくほどの場所だ、とおっしゃっていました。

なぜそこまで悪化したのか。それは、西の谷筋がもともと棚田であり、谷筋に沿って小さな平地(平地は地形的に水が停滞しやすい)が連続し、粘土質の土壌が形成されているからです。これが田んぼとして機能しているなら、問題は起こらない。でも、現在は植林され、放置されています。もともとあった沢も、斜面崩壊で埋まっており、山は呼吸ができていない。窒息寸前です。溝を掘った私は確認しました。宮山西の斜面の谷の下に、岩盤がむき出しになっている場所があります。本来、水が豊富に湧き出すような場所です。ここには分厚いグライ層が広がっており、リリーを連れてちょくちょくメンテナンスに行っていますが、素人の私が溝を掘ってもなかなか消えないのです。その影響が、谷上部、西側の尾根筋付近に現れ始めているのです。谷の機能が劣化したとき、尾根はまっさきに痛んでいきます。これに気が付かず放置すれば、そして、普段は降水量が少ない田井の里に、気候変動のために大雨が降るようなことがあれば、どのようなことが起こるのか。六所の湧き水も止まっています。脅すようなことは言いたくない。でも、これが現実です。

山は様々なシグナルを送っています。だけど、絶望をすることはありません。私たちは、事が起こる前に気が付いた。そして西の谷筋の改善は、確実に尾根付近の環境の改善につながっています。水脈保全は、下からやるのが基本だからです。山は自浄作用がありますから、最初のインパクトさえ、正確に与えればよい。それを導ける方々、高田さん、今西さんが、守る会に関わってくださっている。そして、筑波山水脈における最大の要、宮山の改善が、確実に、筑波山の山頂にいたるまで、筑波山全体の改善へとつながっていくんです。

里の人にこの問題を解決する気力、体力、余力は、もはやありません。田畑、広い屋敷を維持するだけで、ぎりぎりなのです。里の人はもう十二分に、頑張ってきたんです。社会から、やっていることの価値も理解されず、感謝も受けることなく、それでも歯を食いしばって頑張ってきました。今こそ、筑波山を愛してやまない街の皆さんの利他の愛と力が必要です。屋敷の濁った池(これも水脈の要)。放置竹林。遅れた山林の間伐。荒れた山道の再生。やらなくてはいけないこと、いっぱいあります。街の皆さん、皆で里の人に恩返しをしていきませんか。筑波山水脈(筑波山の水は、埼玉県の熊谷まで到達しています)の重要性を考えれば、この小さな田井の里―それも六所―の環境こそが、関東平野の広大な領域にインパクトを与える程のものだということ、これが真実です。(これは本当に単純な、物理学的な話です。すべては連鎖するのです。それだけの話です。)そこに、古代からの天照大神信仰が現代に至るまで脈々と続いており、かつては東国のお伊勢様として篤い崇敬を集めていたのです。古代の人々は、この場所の重要性を正確に理解していたのです。なぜ、裳羽服津というただならぬ古名がこの地に残されるのか。歴史学研究者として、このことに、私はただただ畏怖を感じるのです。

最後に、今西さんからの言葉で、心に残ったものを。

「山に入るときは、入らせていただく。木を切るときは、切らせていただく、という気持ちで。」

「どうせ山に入るなら、山にとってプラスになることをして帰ってくるように。」

「現状に絶望をしないこと。」

今西さん、遠いところからお越しいただき、本当にありがとうございました。今後ともどうぞお導き下さい。

リリーの泉(仮)その後

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しばらく海外に行っていた事務局ですが、帰国後すぐにリリーの泉(仮)へ。画面左下隅から中央へ、四つの点穴の列が見えますが、湧水は下から三つ目の小さな穴です。いじってしまったので水が濁っていますが、しっかり水が下から湧いています!台風のおかげで泥詰まりが取れたのか、水量が増えている。リリーがさらに穴を深くしたのを見て、かなり掘り下げてみました。画面中央部やや右の、杉の木の足下の、石の際の点穴に水が溜まっているのは見えますか。

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実は私が掘った穴です。リリーが湧水を出した後、なんとなく第六感?で掘りたくなった石の際です。この場所は、画面右から左へ地形が低くなっている場所です。水は、こういう地形変更地点から湧き出しやすく、石の際は一つのポイントです。私が掘りだしたのを見て、リリーも手伝ってくれました。掘ったばかりの時は水が出ていなかったのですが、久しぶりに訪れてみるとなんとこんなに水が。しかし、水の表面をみていると、どうも下から揺れているような… もしや湧いている?

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こちらは、リリーの掘った穴の背面から撮った写真です。リリーの泉は、斜面半ばのテラスのような場所にありますが、こういう地形では、土圧の差が生まれるため、湧水が出やすいのではないでしょうか。さらに、太い杉の木の根が地中深くから水を吸い上げているに違いありません。私の推測するに、この場所にはもともと比較的大きな泉があったのではないかと思います。山が荒れたことによって斜面崩壊し、泉が埋まってしまったのではないでしょうか。ここの泥をあげれば泉が復活する可能性は高いですが、一気にやってしまうと、リリーの泉(小さい…)の水が濁ってしまう可能性があるため、点穴を要所要所に掘っていき、個々の穴に水を湧き出させてから、少しずつ泉を広げていくのはどうだろうかと考えました。

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水が湧き出ているかもしれない、石の際の点穴、というか溝をさらに深くする。分かりづらいですが深さ30cmは掘りました。かなり青いグライ層。粘土質ですが、下の方は心なしか砂っぽいような…

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この状態だったところを… 穴を広げたり、深くしたりして…

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こんな感じにして(分かりづらいか)、左の水が下のテラス下へ落ちるよう、水道を作りました。画面左の穴のビデオを撮りましたが…

youtu.be表面が少し揺れているような… 掘ったばかりなのでガスかもしれません。下へ水が落ちるようにしたので、湧水なら水が澄んでくるはずです。

youtu.be全体像です。

さてさてどうなるのか。来週専門家がいらっしゃるので、アドヴァイスをいただければと思っています。

 

 

 

六所に新しい湧水地が生まれました

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先日、リリーが突然穴を掘りだしたと言いましたが、その後、湧水が出ました。

当日の様子。下からゆらゆらと水面が揺れているのが確認できます。もしや…と思ったのですが、下からガスが出ているだけかもしれず、ひとまず様子をみることにしました。次の日湧水を確認すると、なんと水が澄み切っており、下から砂が吹きあがっていました。これを見たときの私の気持ちは、一言では言い表せません。あえて言うなら、畏怖…でしょうか…。

手をひたすと、冷たい。これは、地表水ではありません。下から吹きあがっています。リリーがものの10分で湧水を出したのです。。。

リリーの掘削した穴だけ澄み切っています。冷たい水が、砂を噴き上げながら沸き上がっています。

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縦30cm、横50cmくらいでしょうか。小さな、小さな泉です。広げることも考えましたが、水が濁る恐れがあります。あえて小さいままに留めて置き、応急処置として周辺を枝葉で保護しました(後で夫に炭を撒いてもらいました)。代わりに水道を広げ、泥水が流れやすいように手を加えます。

濁った水に現れる根源的な水エネルギーの姿。

「躍動する流動体 数学的 美的に炸裂する蜃気楼」

              (小沢健二「流動体について」より)

この湧水を今後どう守っていくか。湧水が枯れないことが確認できた時点で、山主さんに相談しなくてはいけません。このような活動を始めたこと、決して簡単な道のりではありませんでした。地元の方のご理解が無ければ、続けることはできません。自分との闘いでした。今後もそうであり続るでしょう。しかし、一つの答えを頂いたような気がします。本当にありがとう。何よりも、六所の里の方々に。それが今の私の気持ちです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第三の師現る―水脈整備犬リリーの本領

youtu.be水脈整備を始めてから、師とお呼びしたい二人の方にお会いしましたが、本日、第三の師が衝撃と共に姿を現しました。。。それは、なんということでしょうか、我が家の同居犬、守る会マスコットのリリーであったのです・・・!!!(犬と比べるのは失礼だとは思うのですが、本当にそういう心境になったのです。自然は偉大です。まずはビデオを見てください。)

今まで犬を飼ったことの無い私は、この犬は賢い、賢くない、ということは正直なところあまり分からないのです。しかし、犬を良く知っている方々に、この犬は賢い、こんな賢い犬はなかなかいない、という言葉をかけられることが多いのです。お座りもお手も覚えないのか、そんなことをやっていられないから無視をしているのか、よく分かりません。たいへんないたずらっ子です。今まで多くのものを破壊されました。ただ、全く吠えません。必要な時にシグナルとして短く吠えるだけなのです。散歩のときも、こちらに負担をかけすぎないよう、配慮をしてくれます。嫌なことをされてもじっと耐えます。人間も犬も大好きです。ご飯はあまり食べない。なんというか、ストイックなわりにフレンドリーで変わった犬だとは思っていました。

筑波山の麓にある宮山の西の谷筋を散歩していると、突然リリーの様子が変わり、たいへんな集中力で周囲の臭いを入念に嗅ぎ出しました。いきなり駆けだしたかと思うと、その先には水の停滞した湿地が。4月の高田さんのWSで少し手を加えた場所です。五感を使って現場を分析した後、的確な場所に点穴を掘っていきます。垂直断面を作る際は、ややオーバーハングになるよう角度を変えながら念入りに。全体の水・空気の通り具合を複数の地点から何度も確認し、必要最低限に手を加え、仕事をさくっと終えたら次の場へと移っていく。すごいの一言…。確かに、穴を掘る速さがすごいし、断面の角度がきちんとオーバーハングしているのはすごいなとは思っていたのですが、そんなものではなかった。。。

リリーは絶滅危惧種四国犬です。事務局はドイツ生活が長かったのですが、ドイツで経験した犬と人間との関係に憧れ、スタンダードダックスフントジャーマンシェパードを飼いたいと思っていました。しかし、良い犬が見つからず考えあぐねていたところ、何かに導かれるように四国犬を飼いたくなり、宮城の「日本犬牧場銀河の郷」から譲っていただいたのです。「銀河の郷」は、心優しい獣医さんによって経営されていて、宮城の大自然の中、夢のような環境で日本犬の繁殖が行われており、なかでも四国犬の繁殖に力を入れていらっしゃるのです。(食事はイノシシと魚だけ!)

四国犬は、特殊な犬です。

引用:「四国犬というのは、日本犬のなかでも、縄文犬、弥生犬(いずれも、土偶や、化石骨から出土している)に最も近く、それ以前までさかのぼると、日本オオカミに近いとされる犬です 頬に掛けての[裏白)また、尾[元は巻尾だったと推測できる)形態で有るからです。」

http://www.jca.apc.org/~kuzunoha/kawara-sikoku.htm

今回は、山の整備における犬の素晴らしい知性と可能性を垣間見ました。人間にしかできない水脈整備はあります。しかし同時に、嗅覚と聴覚にすぐれた犬にしかできない水脈整備もあります。日本の山がここまで荒れた理由のひとつに、狼の絶滅があることは間違いなさそうです。猪が穴を掘って山を整備していることは高田さんに教えていただきましたが、おそらく狼も日々自分たちの餌場を大切に保全していたのでしょう。集団の力を使って。すべての犬がリリーほどの動きを見せることが出来るか、というとそんなことはない気がします。やはり狼に近い四国犬の性質が現れているのではないかと思います。今後はリリーと積極的に山に入り、好きにさせたいと思います。お手もお座りもやってくれませんが、そんなことはどうでもよいことだと改めて思いました。彼女は、私たちのかけがえのないパートナーになる。そう思いました。

まだ生後六か月目のリリー。かなりの美人さんです。いずれ繁殖を考えていますので、四国犬が欲しいという方、事務局に声をかけてくださいね!

 

*次の日現場を確認しましたが、砂を噴き上げた湧水になっていました。リリーが入念に掘った穴だけ!すごいを通り越して畏怖を感じました。またブログにアップします。

8月の活動のご報告&9月の活動のお誘い

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9月の活動のお誘いです。

作業内容は、竹炭焼き+階段作りになるかと思います。

*今回は急遽、三重県から自然土木をご専門とされる今西友起さんを講師としてお招きし、山のスクールを開催することとなりました。任意で、謝礼へのカンパをお願いできればありがたく存じます。

雨天決行です。(雨の日は雨の日で、水の流れが見えるので水脈整備に適しています)

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日時:9月28日(土)

場所:立野集落(六所の隣です)→ 六所皇大神宮霊跡地 境内 に変更

時間:9時集合~お昼ご飯後、随時解散(午後は有志で作業を行います)

*疲れすぎない程度に体を動かしましょう。水分はきちんと取りましょう。

*お昼ご飯を食べる方は、おひとり300円(未就学児100円)カンパをお願いします。お昼ご飯は、焼きそばです。 → 人数が増えましたので、豚汁の予定です。

*野良仕事の服装でいらしてください。マムシ・蜂がいます。帽子・長袖・長ズボン・タオル・軍手・長靴・リュックか腰袋・着替え・虫よけスプレー・虫刺されの薬 等 黒い服装はお控えください。

・持ち物:飲み物入りの水筒・ノコ鎌・移植ゴテ
(昼食を一緒に召し上がる場合)お皿・お椀・お箸・コップなど

*参加ご希望の方は、tsukubanomizu@gmail.comに、ご昼食の有・無もお伝えください。

 

《初めて参加される方へお伝えしたいこと》
私たちの活動は、自然保護を第一の目的としたものではなく、山を真ん中とした、人と人、里と街とのつながりを再生することを一番大切にしています。山仕事には危険がつきものですが、ボランティア保険はかけず、「自己責任」という言葉も使わず、お互いを思いやりあって活動をしていきたいと思います。小さなお子さんやご老人も参加されますが、誰も怪我をすることなく、無事に家に帰ることが出来るよう、優しい気持ちで祈りながら、同じ時間を過ごしていければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

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太陽の日差しはどこか弱いままに気温はあがり、むうっとした熱中症の恐れが強い日となりました。今日の事務局は緊張をしていました。というのは、たいへんうれしいことながら、急に参加人数が増えてしまい、きちんとさばけるのか心配だったのです。しかもなんと、県南で広く読まれている常陽リビングさんが取材に入ってくださったのです!今年の1月に小さく始まった山麓の活動が、花開こうとしている。そんな気持ちです。常に楽天的でいたい。そう思います。

 

*今回の記事はかなり長くなります。

 

いつの間にかレギュラーメンバーになってくれた(これもひとえに高田さんがWSで熱いスピリットを吹き込んでくださったおかげです)Y子ちゃん、M子ちゃんは家族を引き連れて前日入りしてくれました。バーベキュー、花火、佐渡のおいしいお酒、最高だったね。常陸牛のハンバーグを裏磐梯の山塩で、はグルメすぎた…。守る会を立ち上げて一番嬉しいことは、出会う事のなかったはずの者たちが出会い、友情をはぐくみ、胸襟を開いて語り合えること。総勢5人の子供たちは大興奮、親たちが夜中の二時に寝ても、UNOをやっていたそうです。

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次の日の二人。まつりつくばで笛を吹くそうで、田井の里をバックにぴ~ひゃらら。背後には蚕影山があります。立野集落に澄んだ音が響き渡ります。なんだか別の方向で、守る会の存在感が増しています。でもこれが守る会の強さとなっていくのだと確信しています。小さな小さな共同体が―それも深く山とつながろうとする強い意志を持った新たな共同体が山麓に生まれつつあります。神社合祀前の共同体をもう一度取り戻したい。いかに「自然保護」という概念を超えながら「自然」を取り戻すのか。何度も何度も思考を重ねながら、あきらめずに手を伸ばしていきます。遅れてやってくるご家族がいるため動けない私に代わって、二人が宮山にみんなを引き連れ作業を始めてくれました。少しずつ、私が全て回さなくても大丈夫になっている。人数がもっと増えてきたら、グループを分けて彼女たちにもう片方を任せたい。そんな風に思っています。

実は、今回の私は前回までの私とは違いました。三重で自然土木を営まれている今西友起さんに地球守のダーチャで薫陶を受けた私は、8月頭にほぼマンツーマンで様々な技術(スコップの使い方から、山での足の運び方から!)を教えていただいたのです。今までの私は技術的にはアマチュアでいたいというどこか煮え切らない態度がありました。それは本業でないものに足を突っ込みすぎて、本業が疎かにになることへの恐れがあったからです。しかし三日間にわたり、ひたすら草を刈り続け道を切り開く姿、透徹な視線で地形を切り裂くように読み解く姿を目に焼き付けた私は、プロの方だけが持つ気迫に圧倒され、守る会を率いる私もこうでなくてはならない、そうでなくては山を救うことなど到底できないという気持ちが強くなったのです。本業と水脈と、二兎を追う他、もう無いのです。お陰様で、今回の私はそれまでの私とは異なり、確信をもって、道具の使い方、枝の抜き方、穴のあけ方を伝えることが皆にできたと自負しています。今後はプロの方々から積極的に技を学び続け、守る会に来てくれるみんなに、確固とした技術と思想を身に着けることの大切さを伝えていきたいと思います。消えることの無い水脈への情熱を私に吹き込んでくださった高田さんに引き続き、的確な技術と思想を伝授してくださった今西さんには、心より感謝申し上げます。今私には、二人の師がいらっしゃるのです。

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藪化した宮山西の谷筋の沢。ほぼ水の流れは停滞しています。本来水が流れる場所というのは、爽やかな空気の流れがあるもの。枝を間引いて、沢上の気脈の流れを作ってあげます。これだけで周りの草の生え方が変わってくるんですよ。この時に大切なことは、植物に向ける意識です。もし乱暴な気持ちで取り組んでしまえば切りすぎてしまうに違いなく、剪定後に枝が反発するのです。それでは藪が健全化していかないのです。刈っても刈っても繁茂する植物と「戦う」ことになります。静かで優しい気持ち―切ってごめんね、切らせてもらうね、という気持ち―で一本一本の枝に向き合う事が大切です。その時人は、第六感も使いながら、最適の抜くべき枝を見極めることが出来るはずなのです。その能力は人であればだれもが持っているものなのです。その一点を求め抜くことの大切さ。山が好きな方なら、至福の時ですよ。

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これでは、私の考えではやりすぎなのです。藪は反発するし、直射日光が地面にあたりすぎて手ごわい下草が生えてきます。私は剪定のやり方を伝えた後、他の現場に顔を出していたので、切りすぎていることに気が付きませんでした。気が付いたのはY子ちゃんです。気が付いたきっかけのアプローチは違いましたが、結論は同じでした。皆、自分自身で考えているのです。そして意見を共有し、本気で議論するのです。どのような学びの場においても大切なことです。 

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どうやら岸から切っていたようで、完全に沢に入って、枝と対話しながら剪定をしてもらいました。

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少しこつを伝えただけで、すぐにものにしてしまう勘の良いAさん。単に、意識の変化を促しただけです。こういう時は、個々の技術より思想を伝えた方が早いし、応用が利きます。水脈整備をする時は、ノーメイクの頬っぺたと、できれば腕を出すことが大切です。空気の流れを感じるためです。すべて刈らずとも、空気が流れていくことを感じて欲しい。山で、不必要に枝を切ったり草を刈る必要はありません。後の仕事が増えるだけです。

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泥をあげる。こういう時は敷葉工法です。枝葉と炭とサンドイッチしながら泥をあげていくと、一つの地形になるのです。 

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泥をあげるだけではない。下からの水の湧き出しを誘発するためにショウセンで突く!石の際や地形変更ラインが湧き出しの発生しやすい箇所ですが、この時の角度を説明する時、私は、「歯医者さんが歯石を取るときの角度を意識して」と言ってみました。垂直よりやや攻めて欲しいのです。ショウセンの重みを利用しながら…一気に突く!悪くない角度だと思います。

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もう一つの現場。稲荷神社に向かう急な道に階段を作ります。南麓最強の男、空手日本一になったことのあるN師範と、同じく空手家のたおやかなN子夫人。師範が参加してくれると聞いて、階段を作ってもらおうと私はてぐすね引いていたのでした。階段作りは、男女ペアが良いのではないかなと思います。力強い男性の筋肉と、繊細な女性の感性と、どちらも必要です。

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階段の作り方の詳細を説明すると記事がとんでも長くなってしまうので、また今度に。写真を載せておきますね。守る会に来てくださったら教えて差し上げますよ。一緒に作りましょう!

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何をやっているのでしょうね~。またの機会に説明しますね。マイナスドライバーは本当に使えますよ。

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この階段に左右の木の根っこがはいっていけば、それは1000年(は言い過ぎ?)持つ階段となるのです。そのために気を付けなければいけないポイントはいくつもあります。

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一足先に帰宅すると、娘がご近所さんからお野菜をいただいたバケツを返していました。この光景を見たとき、言葉にならない感情が沸き上がりました。

この後蚕影山神社に行った私は思いがけない方と出会い、そしてキイロスズメバチに頭を刺されました。帽子をかぶっていなかったのが良くないのです。黒いところを刺されました。他の人がさされる前に私が刺されてよかった。皆さん、帽子かてぬぐいは頭に巻きましょう!黒は良くないです。ドイツの生活の知恵、タマネギを頭に載せてなんとか回復。今でもズキズキしながらブログを書いています。ハチの活動も活発になってきますから、皆さんご注意を。

 

 

7月の活動のご報告&8月の活動のお知らせ

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上は、宮山西の谷筋に皆で作った沢筋に出来た深み。こんなに透明できらきらした水が集まっていますよ。森の動物たちも水場が出来て喜んでいることでしょう。そして私も。。。水脈を守るということは、ひとつひとつの水場をどこまでも澄ませていくという事。地上の水が澄んでいるということは、土壌が健康である証であり、そういう地の植物は藪化せず、人にも心地よい空間を提供してくれます。当然災害も小さい。

さて、7月は地球守ダーチャ訪問、月一の活動、8月の新潟黒姫山訪問の打ち合わせ等もあって、水脈にかまけすぎました。。本業に若干差しさわりがあり(なんとか不眠で帳尻合わせましたが)、反省です。常に余力を残しておかないと、もう若くないので色々なことがこなせないですね。頭の切り替えも若い時のようには。。ただ、心情的に大きな転換の月となったことは事実であり、様々な方からインスピレーションをいただきました。心より感謝申し上げます。 まだお話しできる段階ではありませんが、大きなプロジェクトも動き出しました。うまく行くことを祈るばかりです。

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さて、今月の活動は、前日に雨が降ったこともあり、竹林整備はやめておきました。竹林は意外に危険で、転んだ時など大事になりやすいのです。かつて夫は、長靴を履いていなかったために、ふくらはぎにかなり深く傷を作ってしまいました。そもそも夏に竹炭を焼くこともないですよね。代わりに、涼みがてらに宮山の西の谷筋のメンテナンスを行いました。沢掃除はまだやったことのないみんな、この楽しさに相当はまってしまった!ごはん時になってもみんな帰ってこない(特に女性陣)。夫が「疲れたけどみんな帰らないからさ~」と愚痴っていました。

谷筋の状態はかなりひどいもので、斜面崩壊のためにほとんど流れが無く、湿地状態でした。高田さんとのWSで多少掃除したとは言え、それはほんの一部。きちんと泥が流れるよう、抜本的に手を入れました。枝葉を取り除き石を動かすと、すぐに水は動き、泥が流れていきます。ちょっとやりすぎかと思われるかもしれませんが、皆で考えて、かなり大きな石もどけました。沢掃除でどのくらい手を入れるかは、森の健康状態によるのではないかと思います。宮山はかなり劣化した森のため、このような判断をしました。ちょっとの大雨で、上から石や枝葉が流れてきて流れをふさいでしまうのです。

日々の現場に、高田さんはいらっしゃいません。自分たちで知恵を絞って、感じて判断していく他ありません。時には失敗することもあるでしょうが、山は優しく修正してくれます。経験を積み重ねていき、いつか山の牧人になれることを祈って。

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沢筋に設けられた、コンクリートで固められた水溜。泥が溜まってほとんど水が出ていない状況でしたが、泥を取り除き、勢いよく水がパイプから噴き出し、澄んできました。この沢水は六所集落に引かれ、各敷地をうるおしていたのですが、ほとんど水が無いため、パイプははずされていました。もっと上流まできれいにすれば、水量が増えるので、再び敷地にひいていただけたら、と思います。

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水溜の上。さらに泥をさらっていく。一応、水が流れ始めました。でも水量が少ない。森が健康になっていけば、水量は増えていきます。大雨が降っても山は水を存分に吐き出すことが出来るので、これ以上の防災はないのです。

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その上、こんな状態。沢??という感じですね。これでは宮山が苦しむのは無理はない。来月はこの沢を引き続き綺麗にします。

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斜面崩壊の後の崖に、苔が生え始めていました。斜面崩壊は、山が呼吸するために自分を崩すため、この後山は心地よく呼吸が出来る。その崖面が安定してきた証拠。

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唐突ですが、我が家近くの、山からの水が停滞して湿地状態になっていた場所(写真奥の方に、水の道への染み出しが確認できます)の改善。かなりの紆余曲折の後、少しずつ形ができてきました(まだ溝が通っていないですが)。高田さんにおそわったやり方で作った階段、安定しています!

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直角の切込みは安定し、苔が生えてきている(上は階段なので踏みしめています)。その上にはたくさんの炭と有機物を載せましたが、様々な植生が認められます。急な崖であっても、擁壁は必ずしもいらないということが、ミクロ、マクロの観察から見て取ることが出来ます。

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シャワーを浴びて、ご飯を食べて、一休みして、午後の部!蚕影山神社へ!この参道がなかなか長大で、一度に手入れを終えることが出来ません。少しずつ進めて行きます。

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実は、前回の参道のお手入れはやりすぎであった事を、地球守ダーチャにて、高田さんより次世代の専門家としてたいへんな期待を寄せられている今西友起さん(三重で自然土木をご専門にされています)に教えていただきました。石段の草を根から引くと、土壌に悪影響を与え、石段の崩壊を誘引するそうです。本来、たくさんの参拝者がいれば、振動が石に伝わり、草は遠慮するものだそうです。

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生えてきてしまった草は根から取らず、頭をつまむに留めてみました。・・・こんな感じ?自然で、かつ歩くのに邪魔でない程度。高度な美意識が要求されます。ひとつひとつの草の命と向き合いながら、どのくらいあなたの命を狭めても良いものか、首をかしげながら取り組んでみました。そういえば、京都の庭職人は、落ち葉の掃除の時も、あえて絵になる形で葉を残すとか。

今西さんは、もともと土木業界での長い経験をお持ちでしたが、土壌環境の問題に気付かれたのち独立され、「優しさと愛」を主眼に置いた自然土木の会社を立ち上げられました。地球守のダーチャでは(厳しい…)薫陶を受け、私も守る会事務局としてもう少し上の段階に行かなくてはいけないという、思いに至ったのでした。私もプロの視点を得、他の方に教えられるようになるため、今週末、新潟の黒姫山に集中講座を受けに行きます。これについてはまたご報告しますね!

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皆で、「今西さん的にはこのくらいなの???」などと相談しながら手入れをし、こんな感じになりました。間違えて根からひいてしまったM子ちゃんが「きゃ~ごめんっ!」、というまでに皆の意識が変わりましたことをここにご報告申し上げます。山麓の小さな活動でありながら、思いがけず遠い地の方よりご期待いただき、ありがたく、励まされる思いです。

 

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さて、8月の活動のお誘いです。

作業内容は、暑いので、宮山の谷筋メンテナンスになるかと思います。雨天決行です。(雨の日は雨の日で、水の流れが見えるので水脈整備に適しています)

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日時:8月24日(土)

場所:立野集落(六所の隣です)

時間:9時集合~お昼ご飯後、随時解散(午後は有志で一時間ほど蚕影神社のお手入れです)

*疲れすぎない程度に体を動かしましょう。水分はきちんと取りましょう。

*お昼ご飯を食べる方は、おひとり300円(未就学児100円)カンパをお願いします。お昼ご飯は、カレーです。

*野良仕事の服装でいらしてください。長袖長ズボン・帽子・長靴・軍手は必須です。マムシ・蜂がいます。

*水筒をお持ちください。飲み物は用意しておきます。

*参加ご希望の方は、tsukubanomizu@gmail.comに、ご昼食の有・無もお伝えください。