筑波山の水脈を守る会

本会は、筑波山の水脈を保全する活動を行っています

台風一過後の宮山と11月のWS(「山のスクール」/講師:今西友起さん)のお誘い

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11月17日(日)のWSでお世話になる茅葺屋根の家。はては東京より遠いところからいらっしゃることもある外部の方におかれましては、ここでほっこりしていただきたいなと思っています。今回のWSは、ご多忙を極められる高田さんから、三重の今西さんへバトンタッチとなりました。9月の今西さんの山のスクールは、皆さんからたいへんご好評いただき、引き続きじっくりと技術を教えていただければと思っています。今西さん、どうぞよろしくお願いいたします。(ブログ最後に詳細をお伝えします)

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台風19号一過後の筑波山南麓。冴えわたる青空。関東平野をぐるりと囲む数々の名山(那須連山、日光、富士山、榛名山浅間山秩父連山などなど)の姿は、さながらアーサー王の円卓の騎士たち。富士山がアーサー王とすれば、筑波山ランスロット卿というところでしょうか(やっぱり筑波山びいきの私です)。特別警報が出た南麓でしたが、大きな被害は出ませんでした。改めて感じたのは、南麓の雨の少なさ。早々と特別警報が出た東麓の石岡市、西麓の桜川市に比べ、南麓は数時間遅れての特別警報でした。ただ、一部浸水してしまったおうちもあり、山麓には疲れの色が見えました。水路に面する我が家の敷地も水浸しになり、ソーラーバッテリーが浸水しないよう、嵐の中必死で水道を作りました。これからは関東を直撃する台風が増えるでしょうから、何も知らない私も、台風に対する経験値をあげていかなくてはいけません。

(10月14日追記:日を追って、茨城県を含めた各地の甚大な被害が明らかになってまいりました。被災者の皆様におかれましては、心よりお見舞い申し上げます。)

 

一夜明けて、さっそく宮山西の谷筋へ向かいました。

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台風一過後の山。。。ばさばさと落ちた枝葉を片付けながら歩を進めて行く。沢は、沢は、どうなっているんだろうか。。。…なんと!!普段の西の谷をご存知の方には、驚くような光景だと思います。水量が増えて見違えるように生き生きとした沢。谷は、水音のこだまに満たされていました。水が動けば気も動き、森に息吹が吹きこまれ、葉がちらちらと揺れる。明るい日の光が谷に差し込み、恐ろしかった一夜が嘘のように感じられました。

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ここは、311の斜面崩壊で埋まってしまった沢筋で、普段は全く水が流れていないところです。が、流れが復活。本来の沢の姿、水位のイメージがやっと湧きました。9月の山のスクールで、今西さんが「本来の川の水位」とおっしゃっていたことの意味が、体感をもって理解できました。

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あの、申し訳程度の水しか流れていなかった皆で作った水道に、なみなみとした水量の流れが!!西の谷筋の森に、細く勢いの良い流れが幾重にも織り重なっている様子、、、今は濁ったこの水が澄み切って、流れをはさむようにシダが生い茂り、間伐が施された太い杉檜のはざまに複層林が形成されたなら、、、私たちの地道な活動が長く続いていけば、この森はとんでもなく美しい場所になる。山は存分に水を吐き出し、呼吸することが出来るだろう。そんなイメージがふと脳裏に浮かび、私を捉えて離さないのです。リリーの泉周辺はどうなっているだろうか。

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泉上部の岩の際、今西さんが指で横穴を空けてくださったところですが、水の濁りが消えて、停滞水が無くなっている!!!

実は、9月の山のスクール後、毎日のように西の谷に入っていた私ですが、せっかく皆さんが作ってくださった水道、濁らせるわけにはいかないと、停滞した水を流すのに四苦八苦でした。グライ層を素手で触っていたために、肌が汚くなったのはここだけの話です…(グライ層を素手で触るのはお勧めできません)この場所はなかなか水が澄まなかったのですが、台風の力はすごい…色々な詰まりを一気に押し流してしまったようです。

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この場所も、勾配をつけるのたいへんでしたね。なんとかみんなで水を流しましたが、結局その後も泥詰まりがひどく、何度も何度もメンテナンスをしていました。それでも水が澄まず、停滞水がひどかったのですが、停滞はほとんど解消され、水も澄んでいる!すごいすごい。

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ここは大きな岩盤がむき出しになっているところで、おそらくこの谷の水源地となっている特別な場所です。今西さんがバールで4、5か所から水を出してくださったところです。せっかく出していただいたところなので、毎日のように落ち葉や泥を掻き出して湧き出しを守っていたのですが、なかなか濁りが取れませんでした。それが、なみなみとした澄んだ水が岩を洗っているではありませんか。。

高田さんや今西さんから山のお話を伺うようになって、猪やモグラといった生き物が水脈を守ってくれていることを学び、人間である私もその一助を担いたいと思ってきましたが、一番の主人公は水そのものだった。生き物が必死に水を守ろうとする一方で、水―台風―の偉大な力は一瞬にして水道を通し、澄ませてしまう。台風は恐ろしい。人の命すら奪ってしまう。でも、台風はなんと偉大なのだろう。既に頭で理解していたことが、台風一過後の宮山の西の谷を舞台として、実感を持って私の中に初めて受肉したように思いました。その後、白滝神社へ森の王様アカガシのドングリを拾いに行った私と娘ですが、本当に「白滝」であったことに感動しました。本来の水位。本来の沢の姿。既に失われてしまったものをイメージとして描き、手を伸ばしていきたい。

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11月のWSのお知らせです。

筑波山の水脈を守る会主催 
「山のスクール」(講師:今西友起さん)
2019年11月17日(日)9時~16時@六所宮山

関東平野の命の源、筑波山を守ろう」

いにしえより御神体として崇められ、現代に至るまで人々に深く愛される筑波山。900メートルに満たないこの山に、関東平野を広く潤す力があること、ご存知でしょうか。まさに、山全体がパワースポット!そんな筑波山が今、危機に瀕しています。動脈硬化のように水脈の詰まりがたくさんできているのです。山は呼吸ができず、藪に覆われ、貴重なブナ林をはじめとした大木が衰弱し、土壌も硬化。このままでは、関東平野の命の源である筑波山の力が失われてしまう…。

しかし心配ご無用!水脈の詰まりは、人の力でも、スコップ一つから解消していくことが出来るんです。そのやり方を教えてくださるのは、各地の環境再生に実績のある、今西友起さん。今西さんと一緒に、老いも若きも皆で楽しく、筑波山水脈の要、宮山の水脈整備で一汗かきませんか。

・参加費(簡単なランチ付):3000円/高校生以下500円
・8時半、受付開始。9時、作業開始。16時頃、作業終了後、お茶をしながら随時解散。
・お申し込みの上ご参加ください(tsukubanomizu@gmail.com)。詳細をお伝えします。お食事の準備の都合上、開催二日前(11月15日(金))までにお願いいたします。恐れ入りますが、携帯電話番号(中止の際の連絡先)もお知らせください。

西友起さん プロフィール

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1981年生まれ。三重県阿山郡阿山町(現伊賀市)出身。三重県立上野工業高等学校電子機械科卒業後、土木建設業に従事。2017年に独立。山林や庭の環境改善、石場建て構法の施工を専門とし、土中環境を重視した土木を実践している。

筑波山の水脈を守る会
関東平野にそびえる見目麗しい筑波山は、古来より御神体として崇められ、現代に至るまで人々に深く愛されています。日本列島は大きな気候変動の時を迎え、各地で山の崩壊が起きています。土砂災害警戒区域に指定される筑波山南麓ですが、かつての山麓の人々は信仰篤く、水脈の要を神々の宿る場とし、結の作業で守ることによって、命を繋いできました。しかし現代では、森が荒れ、猪もあらぶり、災害の危険が高まっています。筑波山の水脈を守る会は、山麓の暮らしの無事を願い、山麓の人々、街の人々と結び合いながら筑波山の水脈を保全することで、命の源である山を敬い、人と人、人と自然とのつながりを取り戻すことを目的とし、山麓住民によって結成されました。

お問い合わせ先 事務局 茅根(ちのね) tsukubanomizu@gmail.com