筑波山の水脈を守る会

本会は、筑波山の水脈を保全する活動を行っています

4月13日のイベントのご報告

ゴールデンウィークがやってきました。南麓の田んぼに水が入り、心地よい期待に包まれながらも、収穫まで気の抜けない時期がやってきました。

 4月13日に六所宮山で行われました、高田宏臣さんを招いてのイベントでは、皆さま遠方よりお越しくださいましてありがとうございました。外から、里から、合わせて総勢40人近い方々がイベントに関わってくださり、感動的な体験となりました。一方で、このようなイベントの開催に慣れていないこともあって、バタバタしてしまったところもあり、ご面倒もおかけしました。他のイベントにも顔を出しながら、どのようなイベントを開催すれば、里と外をつないでいけるのか、模索していきたいと思います。

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会長の挨拶に続いて高田さんのお話に聞き入る皆さん。筑波山の地下には6000メートルの断層があるとも言われている。この岩盤断層を水と空気が伝い、中央構造線の通る熊谷で湧きだしている。もしくは断層から山へと水を吸い上げている。目に見える川の水の地下には、4000倍の水が通っている。ダイナミックな水の動き。上に磐座がある場合、その地力は強いものとなる。宮山の上には磐座があるし、筑波山がそもそも巨大な磐座をいただく山。宮山の東には、横穴式古墳の跡が見受けられる。このような要の土地では、ものは腐敗せず、発酵していく。こういう場所を選んで、古代の人は墓を築いた。

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実地での解説。情報量に圧倒されるばかりです。高田さんのこの情熱は、いったいどこから湧いてくるのでしょうか…皆さんの食い入るような目。人の入らなくなった宮山東の斜面では、人知れず斜面崩壊が起きているとのこと。

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岩を抱え込んで育つ木。木にとって一番生育に良い場所は、岩の上なのだとか。岩には無数の亀裂があり、そこには水と空気が通っている。木は岩を通して水を吸い上げる。斑レイ岩の巨石がそこここに転がる筑波山の森が特別であるのも、うなずける話。大地の水脈がつまると、岩も水を吸い上げることが出来なくなり、表面のコケが乾いていく。銭ゴケは環境悪化の証。良くしようとして生えてくる。

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たいへんなスピードで様々な技を教えていただける至福の時。山中に繁茂するアズマネザサは水脈の詰まりの証。頭だけを刈り、細根を出させてあげる。そうすると土も柔らかくなる。

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この笹は道のわきに重ねて置いておく。枯れ枝、剪定枝、全て水脈整備の資材となる。無駄なものは何もなし。なるべくお金は使わず、整備することが長続きの秘訣。しがらみを作り、ここに溝を掘った時に出る泥を乗せてやる。竹炭も撒いてやる。こうすると、一つの地形となり、安定していく。昔の人は山を歩きながらこのような所作をすることで、自然と山の保全をしていた。その技術を知りたい。

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道に段切りをしてやることも大切。斜面のままにしておくと、水が走り、泥がでてしまい、地表が固くなります。段差の際には溝を掘り、炭をまく。とにかく炭はそこらじゅうにまきます。

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水脈が劣化し、水が停滞している。このような場所には溝を掘ってやり、泥はしがらみ、炭と絡ませながら脇にあげる。新しい地形が生まれていく。じくじくしているところには溝を掘ってやり、水を湧き出させてやる。

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みんなで掘ります。昔の御天馬さま、道普請を思い出す。すべてが官の領域になってしまう前の時代。地元のメンバーが、楽しい楽しいと嬉しそう。私もとても楽しかったです。高田さんがもうそろそろ…といってもみんなやめたがらない(笑)

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木の根元を掘ると、赤い水が湧きだしてきた。これは赤さび菌の大量繁殖によるものとのこと。土壌の水脈環境が悪化すると、特定の菌類が繁殖する。これも数日後には消えていました。

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お待ちかねのお昼ご飯。六所のお料理上手の奥様が、山菜のてんぷらを用意してくださいました。前日、よもぎ、セリ、柿の芽を摘みました。スタッフが当日掘り出したたけのこのてんぷらも。ガスボンベが空になるというハプニングも。

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ふきのきゃらぶき。これも野でつんだものです。

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薪を使っての料理はわたわたしてしまいました。薪で炊いたご飯、そして豚汁。お店で食べるようなものは出せませんが、遠くから来てくださった方のために、心づくしの素朴なお料理をお出ししました。次回は夏だから、色々食材がありますね。

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疲れることを知らない精力的な高田さん。沢掃除と石積みのやり方を教えてくださいました。ささっと積んでいるというのに美しくがっちりとした石積み。私もやりましたが、ガタガタ(苦笑)

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知らないうちに、橋も作ってくださったようです。石、枝、泥、切株まで使って、しっかりとした橋です。なぜ本職の方が、寸暇を惜しんでここまでしてくださるのでしょうか…。本当に、頭が下がります。高田さん、スタッフの方の御心がしみてまいります。そして、外からいらしてくださった皆さん、なぜ皆さんはいらしてくださるのでしょうか。スタッフでは無いにも関わらず、イベント開催に奔走してくださった地元の奥様方(当日急遽駆り出された奥様もいらっしゃいました)の胸中に走るものは一体何なのでしょうか。85歳のおばあ様が、薪でご飯を二回も焚いてくださいました。本当に楽しそうにやっていらっしゃいました。ただ山がきれいになっただけではない。それ以上のものが、このイベントにはあった。素人ながらに開催してしまったイベントですが、人と人がつながり、そしてその輪の中心に山がある、そんな気持ちでいっぱいでした。

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これは、守る会という立場から離れて私が個人的に考えていることです。森/山から人が消え、荒れているのは、よく言われているような、決して薪を取らなくなったこと、杉檜が経済的な価値を失ったためではありません。そもそも、あらゆるものを経済的な物差しで測ること自体が、近代以降に形成された、極めて狭い価値観にすぎません。

日本人は古来より、人―つながりあいながら生きることを自然(じねん)とする存在―としてあるために、山を必要としてきました。山の水脈の要に社を設け、社を中心として集落を形成する。村人は助け合って、多忙な農作業の合間に祭りの準備を進め、当日を迎える。社を舞台とした祭りでは神楽を奏で、老若男女、収穫したコメで醸した酒を呑み、馳走をほおばり、無礼講で踊りを楽しむ。人々は社を通して山との関係を深めることで、山を傷めないような、痛めたところはきちんと手当てをするような、そのような仕草を自然と身に着けていきました。山と離れた町の人々もまた、筑波講や富士講といった信仰で山とつながり、町で生きる英気を養ってきた意味で、村人と本性は同じです。もし、このような暮らしから社を奪ってしまったらどうなるでしょうか。人と人はバラバラになり、人と山とのつながりも絶たれてしまうのではないでしょうか。

明治39年の神社合祀令、これがすべての始まりであると私は考えます。比較的若い人が残っている筑波山南麓においても、集落の祭りを開くことすら一苦労、もうやめてしまいたいという人が大多数です。神社の聖域の意味も忘れ去られ、致命的な造作が施されています。近年頻発する土砂災害。共同体の崩壊。南方熊楠が警鐘をならした通りです。全て明治39年1906年)の失策がもたらすところが、いよいよ100年を超えて姿を現してきたのです。この世紀の大失策の責任者は、もはやこの世にはいません。私たちは何事も自分たちで決めているように思いこむ生き物ですが、殆どの場合、歴史の必然であることが多い。過去の歴史から解放され、自分たちの意思でより良き社会を形作っていくためには、まず歴史から学ばなくてはなりません。

なんとか祭りを続けていきたい人もいる。地域おこしをしたい人もいる。土砂災害に怯えている人もいる。自然を救いたい人もいる。みんな一つにまとまるとうまくいく。

集落で迷惑がられてもいい、とにかく巻き込んで巻き込んで、先頭切ってたいへんなことも楽しみながら「皆で」「経済的価値観から解放されて」神社の聖域を整えていくこと、そこへと集う事、食べて飲むこと、しまいには踊りだしてしまうこと(祭りの復権)、これが人と人とのつながりを回復していくことの一番の近道であり、防災となり、環境保護となります。日本は災害の多い土地柄。社の聖域の保持(水脈の要/祭り/信仰の場)・共同体の復活・防災、これらは三位一体のものとして私たちの歴史の深層に沈んでいます。どれか一つを切り離しても、何かを成し遂げることは不可能であると私は考えます。この考えは、守る会の設立文に記したものですが、記念すべき第一回目の水脈整備を終えて、なぜ外からの方々が私達を助けてくださるのか、当たり前のことと思わず、感謝の念を忘れず、何のために私たちはやっていくのか、気を引き締めて先を見据えていかなくてはいけません。次のプロジェクトは既に始まっています。

 水脈整備は学ばなくてはいけないこと、たくさんあります。高田さんの教えを受けると、新しい発見がたくさんあります。でも、私たちの持っている直感のようなものも大切にして、きちんと学ぶ前にどんどんやってしまうのも悪くないと思います。というか、もう待ちきれなくなっちゃうのでね。自然もまた先生です。高田さん、次回もまたいっぱい色々なことを教えてください!皆さんもまた、六所の里に遊びにいらしてください!

 

 

 

 

 

我が家の水脈整備

水脈整備のやり方を高田さんに教えていただくことになっているのですが、待ちきれず、我流で色々とやっています。

これまでの理解ですと、水脈整備には大きく分けて、

 1 溝掘り・縦穴掘り→炭、有機物、竹筒を差し込む

 2 風の草刈り

 3 沢の整備

があるのではないかと思います。私たちはこの三つを既に試しています。1は女性にはなかなかきついものがあります。特に筑波山南麓は石が多く、粘土質の土壌であるため、ほんとーーーに、たいへんです!!!ただ効果は抜群であると感じています。一方、2と3は、女性でも子供でもお年寄りでもできる、非常に楽しい作業となります。3については細草川の記事で既に紹介しました。

こちらは、我が家が草刈り、芝焼きを担当している土手です。区長さんにお許しを得て、風の草刈りを実施している場所です。

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私達がやっているのは、風の草刈りというより、ただの高刈りですが。土地改良区との境目ですので、U字溝も深く、山の水がかなりここで停滞していると思われます。土壌が大きく変わるのに3年と言いますが、一昨年の秋から始め、今年の春から3年目のシーズンに入ります。土壌が変わると植生が変わり、柔らかい草が生えてくるようにります。芝が芽を吹いているのが分かります(↓)。昨年は芝など殆ど見当たらなかったのですが。ちなみに一番水脈が詰まっていると考えられる道の曲がり角には、ススキが生えています(↑手前)。固い土地には固く手ごわい草が生えてくるのです。

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よく手入れのされていた昔の土手は、美しい芝地だったそうで、このまま高刈りを続けていけば、そのように変わっていく予感がします。季節になれば殺虫剤がラジコンヘリで大量散布される土地ですが、高い草に守られたのか、土手には生き物がいっぱいでした。ちなみに冬の芝焼きも、高刈りの枯れ草が功を奏して、きれいにきっちりと焼けました。

風の草刈りは楽しいのですが、昨年私はブユに何度もやられました。小さい割に、強烈に腫れあがるので、やっかいなやつです。イベントに参加される方も、命にかかわるようなことではありませんが、どうぞお気をつけて。黒い服を着ないこと、専用の虫よけを使う事が自衛になります。また、かまれた直後にポイズンリムーバーを使い、専用の薬を塗るとだいぶましです。

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いたるところに繁茂するアズマネザサ。これも水脈の詰まりの証です。下から刈ると反発して暴れるので、あえて一メートルくらいのところで刈ります。薪を乾かすために、一部刈ってみました。なんでも、冬に一メートルほどのところで刈ると、うまく枯れてくれるのだとか。本当なのでしょうか。

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敷地の向こうには、土地改良区が見えます。この敷地で山の水が止まってしまうので、困っていました。晴れた日でも道際は湿地状態で、舗装道路に水がしみて、臭気があたりにただよい、油が浮かんでいたのです。酸素が欠如することによって、有機物が分解されないためです。周囲の地主さんの了解を得て、ユンボで溝と縦穴を掘りめぐらせました。溝は一メートル、縦穴は1、5メートルくらいは掘ったでしょうか。掘ったとたんに、まるで、待っていたよ!というように、腐った水が大量に噴出してきたことは忘れられません。強烈な臭気でした。溝には自作の消し炭と大量の剪定枝を投入しました。8か月ほどたって本当に水はけは良くなりました。

思えば、これが最初の本格的な水脈整備でありました。8月の暑いさなか、軽い熱中症になりながら、限られた時間の中で一気に進めたこと、忘れられません。何より、この話にがっつり乗ってくれたM子さんには心より感謝です。

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これが縦穴です。こんな具合にほぼ常に水が溜まっています。はじめは臭かった水が比較的綺麗になりました。中には大量の竹炭を投入しています。まだ澄んではいませんが、まずまずではないでしょうか。グライ層という有機ガスを発生させる土壌も、空気に触れて消えていきました。 

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自然農による家庭菜園。ここにも我流で縦穴と溝を掘り、炭と有機物を投入、竹筒で空気孔を設けました。畑を貸してくださった方が、除草剤を使わず草を大量にすき込んでいたので、土は柔らかかったのですが、耕転していたために、30センチくらいのところにグライ層が出来ていました。

筑波山の水脈を守ること。それは鎮守の森を復活させるだけではなく、各自の敷地の水脈を復活させることも大切なのではないかと思います。小さな水脈整備をする時、私たちは筑波山を見上げます。今、足裏マッサージをしているよと声をかけながら…







 

 

 

 

宮山の西の谷筋

イベントも二週間をきり、じわりじわりと参加のお申し込みが増えております。ご都合の合う方、お待ちしております。

さて、今回はどの場所を整備するのでしょうか。

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前回もお見せしたこの写真、中央のぽっこりした宮山の、西(左)の谷筋が舞台となります。水脈というのは、上よりも下、地形が大きく変わる場所が要となります。昔から針葉樹の植林を行う際は、谷筋と尾根筋には植えてはならないとされてきたのも、水脈を守るためであったのだと思います。宮山の東には大きな沢が流れていて、容易に手入れが出来る場所ではありませんが、西の谷は枯れかけた小さな沢があるのみ。ここから手をつけてしまおうということです。

 

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宮山の西の谷筋には、六所唯一の湧水「ヒヤミズ」があります。明治に廃社になった六所神宮の御神水です。たいへん古い、中世の立派な石碑が残されています。かつて、筑波山の正式な登山口はここ六所にありました。ヒヤミズで身を清めたのち、天照大神を拝してから宮山を登り、白滝神社を参って女体山に登頂したのです。この古式の登山道は、おそらく筑波山水脈の大動脈と一致しています。筑波山にはアカガシの巨木が生えているラインがありますが、要の水脈と関連しているものと思われます。実際、女体山南東部には、見事なアカガシの森が残されています。

(高田さんのブログに、希少な筑波山の森についての記述があります)

www.zoukinoniwa.biz

山そのものが御神体であった筑波山修験道の場であり、俗人は、年に二回、女体山にのみ登頂することが赦されていました。現在は筑波山神社で行われている御座替祭ですが、本来は六所神宮の祭祀であったことも留意しておきたいところです。有名なつくば道とは、徳川幕府が、中腹の中禅寺を普請する際に新しく作った、近世以降の新しい道です。筑波山は江戸の鬼門にあたるため、幕府の崇敬を集めたのです。この中禅寺が、明治時代に筑波山神社となりました。

ヒヤミズに戻ります。自宅の敷地にひいて使っていらっしゃる方もいますが、汲みに来る人はまず見かけません。この谷筋には小さな沢が流れています。山が荒れ、落ち葉や泥で詰まっています。ほとんど水の流れはなく、ちょろちょろと「動いている」程度です。

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高田さんに学んだことですが、沢に泥がある状態は、健全ではないそうです。水脈が詰まった状態です。確かに、小さい頃に遊んだ沢は、泥などなく砂や小石ばかりで綺麗でありました。これでは子供を遊ばせる気もおきない…
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少し足を踏み入れると、針葉樹の森。間伐が遅れ、荒れています。倒木もあちらこちらに。

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緩い傾斜地を上がっていくと、、

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お稲荷さんが…!

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いつの時代のものでしょうか、奉納像が。

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祠の右には、湿地状態になっている場所が。おそらくここが水源地です。まったく水の流れが無い状態。。。しかし空気感が違います。

かつてこの場所には棚田がありました。それはそれは素晴らしいお米がとれたことでしょう。高田さんがおっしゃったとおり、昔の人は、水脈の要に祠を置いて守っていたのです。この要の地が、高田さんのご指導を受けて、どのように生まれ変わるのか。見守っていきます。

 

 

 

 

六所宮山とはただならぬ処

六所自慢の、逆川沿い(本当は酒匂川だそう)の桃の花のつぼみがほころび始めました。WSの時期には満開になるかもしれません。

 

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筑波山向かいの蚕影山も、新緑が芽吹き始めました。ここは春になると、山桜で山全体がピンク色に染まるんですよ。WSの頃は、まだ早いかな。

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4月13日のワークショップの舞台について、書いていきたいと思います。

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殆ど深い谷筋の見られない筑波山南麓にあって、唯一起伏の多い東の奥の院、六所の里。謎深い歴史に包まれた地です。向かって右に見えるのは六所大仏。車でいらっしゃる方は目印にしてくださいね。石碑の裏に、往時の六所の古地図が刻印されています。

手前に見えるぽっこりとした山が、宮山です。その右隣に半分姿を現しているのが、お宝山。この二つのお山が、今は無き六所神宮の鎮守の森だったのですが、江戸時代に、筑波山中腹の中禅寺(現在の筑波山神社)との勢力争いに負け、伐採されてしまいました。現在は杉などが植林されていますが、かなり荒れています。この場所を、私たち里の人々は、皆さんのお力をお借りして復活させようとしています。

高田さんから学んだことに拠れば、大地は、地形の落差のある場所で大きく呼吸をしているものなのだそう。水脈とはホースのようなものですから、下が重要です。ホースの下がふさがってしまえば、水の流れは滞ってしまうからです。ならば、筑波山水脈の大動脈は、やはり御幸ヶ原(男体山女体山の間に位置する高地・直下に男女川の源流があり、紫峰杉が生えています)から東に大きく振れていると考えられ、その裾野にあたる宮山、お宝山というのは、まさに筑波山水脈で最も重要な要の地なのです。ちなみに、この谷筋を遡っていった筑波山の中腹には、大木に囲まれた白滝神社があります。水脈の要には社を建てて守ってきたのが、かつての日本人の在り方でした。

関東平野を広く潤す力を持っている筑波山、その力の源と言える場所が、この宮山、お宝山。そこに、上代からの天照大神信仰が脈々と伝わっているなんて、ただならぬものを感じませんか。朝廷が伊勢神宮に勅使を送る際には、六所にも送っていたそうで、茨城一とも言われるこの地のお米の中でも、六所のお米は皇室献上米であったのです。六所とは朝廷にとってどのような意味があったのか。それほどの宮がなぜ明治時代に廃社の憂き目にあったのか。この地の歴史を、史料を紐解きながら明らかにしていく必要があるのではないかと思います。

筑波山の水脈を守るのであれば、その第一歩はここをおいて他にありません。ここでなくてはなりません。それほどの地なのです。

 

 

 

 

細草川の整備が最高に楽しかった

守る会としてやっていることではありませんが、一部のメンバーで細草川の整備を始めました。自主練と言いますか…。筑波山南麓の田井の里において、細草川は上流に汚染源が無い唯一の沢です。砂防ダムもなく、人家もゴルフ場もありません。ドジョウの固有種もいるとか。蛍のでる沢としても有名です。しかし、数年前の大雨でだいぶ荒れてしまいました。

ビデオを撮っておけば良かったなあと後悔していますが、ほとんど水の流れが無いという印象です。針葉樹の葉や枯れ枝、幹、泥がたくさん溜まっていて、空気もよどんでいます。まわりにはアズマネザサが侵入しています…

これを、高田さんのブログやビデオから見様見真似で学んだやり方で掃除をしました!葉っぱや枝をどけてやり、流れがよどんでいるところは石を適度に動かして、泥を流します。すると…!!

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どんどん水流が強くなり、水がキラキラしてきたではないですか!!小さな滝もできているのがおわかりでしょうか!?これは感動的です。心なしか、谷の風も通るようになり、一気に心地よい空間に・・・!水の流れは空気も引き込むのですね。

 


数日後に再訪すると、流れが変わり、渕が深くなっていました。水の輝度もさらに強く。。。これは思い込みなどではありません。誰でもできる、子供でもできる、川遊びのようにちょっといじるだけで、これだけの効果がある。細草川は上流の水源まで足で30分ほどの小さな川です。ここならきっと私達だけでもやれる。そう思いました。一緒にやってみたいというお近くの方、特にお子さんのいらっしゃる方、ぜひお声がけください。夏なんて最高だと思います。川遊びは天然のクーラーですから。水脈整備に興味のある皆さん、川の整備は、(苦行のような)溝掘りと違って本当に簡単で最高に楽しいですよーー!!

日本は山登りが好きな方でいっぱいです。ここ筑波山にも、週末には多くの登山客がやってきます。「山掃除をしながら山を散策する」という新しいブームを起こし、全国の登山客たちの無尽蔵のエネルギーを、森のお掃除に向けることができたら、何かが変わるのかもしれませんね。

 

3月の活動

いよいよ、高田さんのイベントが来月にせまってきました。高田さんと共に六所宮山(筑波山水脈の最重要と言ってよい場所です)の整備をやっていくことになりましたが、月一の活動では、イベントで使う資材を準備していきます。3月17日(日)は、地元メンバーで楽しく竹炭作りでした。

守る会のM会長は、細草川沿いに広い敷地をご所有です。ここにユンボで穴を掘り、先月伐採した竹を燃やしていきます。消防署にはちゃんと届け出を出していますよ!

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火が収まってきたというのに、とにかく熱い…!まゆげが焼けそうなほど熱いです。

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大人の部活動に付き合わされ、小鳥のさえずりを聞きながら黙々と一人遊びをする我が娘。

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ポンプで川から水をくみ、消火。たくさんの竹炭ができました。この後皆でご飯を食べて解散。来月は外からいらしてく

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ださる皆さんと一緒に、宮山の水脈整備です。

 

4月13日(土) イベント開催のお知らせ

筑波山の水脈を守る会主催 

♪みんなで楽しく水脈整備♪ 「関東平野の命の源、筑波山を守ろう」

2019年4月13日(土)9時~16時@六所宮山

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いにしえより御神体として崇められ、現代に至るまで人々に深く愛される筑波山。900メートルに満たないこの山に、関東平野を広く潤す力があること、ご存知でしょうか。まさに、山全体がパワースポット!そんな筑波山が今、危機に瀕しています。動脈硬化のように水脈の詰まりがたくさんできているのです。山は呼吸ができず、藪に覆われ、貴重なブナ林をはじめとした大木が衰弱し、土壌も硬化。このままでは、関東平野の命の源である筑波山の力が失われてしまう…。

しかし心配ご無用!水脈の詰まりは、人の力でも、スコップ一つから解消していくことが出来るんです。そのやり方を教えてくださるのは、各地の環境再生に実績のある、造園家高田宏臣さん。高田さんと一緒に、老いも若きも皆で楽しく、筑波山水脈の要、宮山の水脈整備で一汗かきませんか。茅葺屋根の家が自慢の六所の里人が、皆さんを精いっぱいおもてなしします!

 ・参加費(簡単なランチ付):つくば市筑波地区在住1000円/それ以外2500円/高校生以下500円/就学前幼児無料

・8時半、受付開始。9時、作業開始。16時頃、作業終了後、お茶をして随時解散。

・お申し込みの上ご参加ください(tsukubanomizu@gmail.com)。詳細をお伝えします。お食事の準備の都合上、開催三日前までにお願いいたします。恐れ入りますが、「交通手段・携帯電話番号(中止の際の連絡先)」もお知らせください。

 *高田さんとの水脈整備は年に四回を予定しております。守る会のメンバー(年会費無・入退会自由)には、開催のお知らせをメールでお送りしていますので、ご興味のある方はご連絡ください。

 

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高田宏臣さん プロフィール

1969年千葉県生まれ。東京農工大学農学部林学科卒業。1997年高田造園事務所開設。地域の環境、住まいの環境作りの視点から、造園設計施工、環境再生に従事。国内各地で環境再生講座開催、技術指導、現在に至る。高田造園設計事務所代表取締役NPO 法人ダーチャサポート理事、NPO 法人地球守代表理事。 主な著書「これからの雑木の庭」他。